神社仏閣、花街、京町家などの昔ながらの建造物で知られる京都ですが、京セラ美術館、国立博物館明治古都館などの明治から昭和期にかけての近代に建てられたモダン建築も多く現存しています。
京都検定では建築家がどの建造物を設計したか問われることが多くあり、2024年の2級ではモダン建築に関わる問題が10問出題されました。
今回は京都検定の公式テキストに記載、または記載はなくても過去に出題されたことのあるモダン建築について、設計者ごとにまとめてみました。
武田五一
広島県出身の建築家で、現・京都工芸繊維大学と京都大学の教授も務めました。
関西建築界の父とも称され、西欧の新しい芸術様式を国内で広めました。
京都大学建築学科本館・時計台

自身が創立した京都大学建築学科の本館と、京都大学のシンボルにもなっている時計台を設計。
時計台記念館は時計台の説明や大学の歴史を展示する資料館になっており、一般向けに開放されています。
京都府立図書館

岡崎にある図書館で1909年に開館。
阪神淡路大震災で被害を受け、外壁保存という形で改修されました。
外壁に隣接する外階段は建設当時のもので、京都モダン建築祭の期間のみ特別に立ち入りが可能になります。
1928ビル(旧毎日新聞京都支局)
明治様式のビルが多い三条通に位置し、1928年に竣工。
1998年に新聞社が移転後に耐久性の面から取り壊しの話が出ましたが、アーティストが中心となり文化発信のためのリノベーションが行われました。
3Fは光や音と連動したパフォーマンスショーのギア-GEAR-の専用劇場として使われています。
片山東熊
山口県出身の明治期の建築家で勲一等旭日大綬章を受けています。
宮内省で宮廷建築に多く携わり、県庁、博物館、貴族の私邸など合計50もの設計を行いました。
国立博物館明治古都館

広大な敷地を要していた方広寺の跡地に建てられた国立博物館。赤煉瓦造で宮廷建築様式。
現在は新館がメインの展示となっていますが、かつてはこの明治古都館で美術品の展示が行われました。
九条山浄水場ポンプ室
琵琶湖疏水の水を京都御所へ防災用水として送るために作られた施設。
第三トンネルを抜けたところにあります。
松室重光
京都府出身の建築家で、ルネサンス様式の建築に特徴があります。作品の半数以上は京都市にあります。
京都府庁旧本館
れんが造りのルネサンス様式で「口」の字型に造られています。
かつてこの地には京都守護職の屋敷があったことから、初代の松平容保にちなんだ容保桜が見られます。
庭園は7代目小川治兵衛の作庭。小川治兵衛は無鄰菴や金福寺、平安神宮、円山公園などの庭園を作庭しているのでセットで覚えておきましょう。
京都ハリストス聖教教会 聖堂
八角塔とドームが特徴的な日本ではきわめて珍しいロシア・ビザンチン様式の大聖堂。
2022年に重要文化財に指定されました。
京都市武道センター(旧武徳殿)

伝統的な和風建築の外観ですが、内部では西洋のトラス構造を取り入れたモダン建築。
1899年に大日本武徳会により演武場として造営され、昭和期に大日本武徳会の解散後は京都市警察学校などを経て現在は京都市武道センターの施設となっています。
木村得三郎
宮城県出身の建築家で劇場建築の名手として知られています。
先斗町歌舞練場

弥栄会館
1936年に芸妓組合やお茶屋組合の寄付によって建設され、演劇や映画、ダンス、コンサートなどのイベントホールとして用いられました。
姫路城を模したデザインで、外観は天守閣のような見た目をしています。
2025年の大改修を経て、2026年には帝国ホテルとして活用されます。
伊東忠太
山形県出身の建築家で、西洋建築学をベースに多くの神社仏閣の建築に携わりました。
建築界では初めて文化勲章を受賞しています。
平安神宮

平安京の羅城門、朝堂院を現代に再現した建築。
平安京の最初の天皇である桓武天皇と最後の天皇である孝明天皇を祀る、京都市全体の氏神神社です。
10/22には平安時代から明治時代までの当時の衣装で着飾った行列が市内を練り歩く時代祭が行われる神社です。
祇園閣

大倉財閥の大倉喜八郎が自身の生誕90歳を記念して建設した別邸の一部で、現在は大雲院に取り込まれています。
屋根が銅板葺になっており、金閣・銀閣と並んで祇園閣は銅閣とも称されます。
祇園祭の長刀鉾を参考にした形になっています。
本願寺伝道院

1912年に生命保険会社の社屋として建設され、その後は西本願寺の診療所などを経て現在は僧侶の教育施設となっています。
煉瓦造りで、インドのイスラム様式のドーム、イギリスの建物をイメージしたレンガ壁といった各地の様々な建築様式が習合した建築物です。
通常非公開ですが、イベント時には無料公開されることもあります。
槇文彦
東京都出身の建築家で東京大学卒業後にアメリカの大学に留学、海外の建築事務所にも所属していたことから海外の作品も多くあります。
祇園くろちくビル

ファッション雑貨、カフェなどが入るビル。2025年には1Fに弓道の体験場がオープンしました。
四条通の南から建物を俯瞰して見てみると上層階に日本酒の樽をイメージした円筒形が見えます。
京都国立近代美術館
岡崎円勝寺町にある国立の美術館。
この地にはかつての六勝寺の一つである円勝寺があった場所で、鳥羽天皇中宮・待賢門院の御願寺です。円勝寺についても過去に京都検定で出題されたことがあるのでセットで覚えておきましょう。
辰野金吾
佐賀県出身の建築家で、設計の頑丈さに定評がありました。
大隈重信の要請で早稲田大学建築学科の創設にも尽力しました。
京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)
旧日本銀行京都支店の建物で、三条通界わい景観整備地区の建造物のひとつ。
赤煉瓦造に白い花崗岩の横縞があり、上部にドームを冠のように設置する独特の手法で造られています。
前田健二郎
大正時代から昭和時代の建築家で福島県出身
京都市美術館(京セラ美術館)

岡崎円勝寺町にある美術館で、京セラ美術館として親しまれています。
昭和天皇即位の礼を記念して計画が始まったため、当初は大礼記念京都美術館という名称でした。
京都市美術館は「日本趣味を基調とすること」というコンセプトでコンペが実施され、前田の案が当選。しかし全ての案が採用されたわけではなく、京都市営繕課の修正が入りながら設計されました。
本野精吾
京都市考古資料館
京都市で発掘された資料を市民向けに公開展示する施設。
常時無料で公開されています。
大谷幸夫
設計者が穴埋め形式で問われることは少ないですが、問題文の中、もしくはその他問題の選択肢に記載されることがあります。
大谷幸夫設計の建造物は京都では京都国際会館だけなので、覚えておきましょう。
京都国際会館
宝ヶ池にある日本で最初の国際会議場です。
台形を組み合わせて設計され、見た目は神社の社殿のように感じられます。
京都議定書が採択された地球温暖化防止京都会議が行われた場所です。
京都で行われる駅伝の全国高校男子駅伝、全国女子駅伝の折り返し地点にもなっています。
山田守
岐阜県出身の建築家で、代表作に東京の日本武道館、京都の京都タワーがあります。
公式テキストに記載はありませんが、過去に1級に出題があり、直接の正答にはならないものの選択肢に名前が度々挙がっていることから、今後に備えて押さえておく必要はあります。
京都タワー
展望タワーとしての設計ではなく、地上にいる人から灯台のように見えるように設計、外からは鉄骨が全く見えないよう、表面に鉄板を貼り付けるようにして作られています。
マスコットキャラクターの「たわわちゃん」は3級で過去に2度出題されています。
原広司
京都駅、梅田スカイビル、札幌ドームが代表作で、有孔体という空間論が特徴的。
公式テキストに記載はありませんが、2025年の2級に出題されました。
京都駅ビル

平安京の南北東西の通りを意識した碁盤の目を取り入れ、烏丸通と室町通に門を設置。
京都市内は建造物の高さ制限がありましたが、京都駅周辺は特例で120mまでの建築が可能でしたが、原は高さを60mに抑え、広い空間を持つ南北のコンコースなどを採用して圧迫感を回避した設計が評価されました。

